音源はいくつかのパターンに分類されます。音叉もまた、いろいろな鳴り方があります。
無指向性の音源のシュミレーション音源(上図一番左)が2次平面上に作る波です。
密度で考えると左右に同位相の波を作ることがわかります。
音叉の異常モード(同位相モード)のシュミレーション音源(上図左から2番目)が2次平面上に作る波です。
これは大阪大学が出題ミスをしたときに最初に想定した答を正当化するために利用した波の作り方です。
密度で考えると左右で逆位相の波を作ることがわかります。
音叉の正常モード(逆位相モード)のシュミレーション音源(上図左から3番目)が2次平面上に作る波です。
これは大阪大学が後でしぶしぶ追加した本来正しい答の波の作り方です。
密度で考えると左右に同位相の波を作ることがわかります。
つまり、左右だけで考えると音叉の正常モードは無指向性の音源と同様と考えてよいことになります。
さて、密度で左右で同位相ということは音叉の左腕が左に変移したとき、右腕は右に変移します。左腕のすぐ左にあった空気分子は腕に押されて左に変移します。右腕のすぐ右にあった空気分子は腕に押されて右に変移します。変移はベクトルで方向を考えないといけません。ここで右を正方向とすると音叉の左の変移はマイナス、音叉の右の変移はプラスとなります。このため「変移は逆位相になる」と表現します。ところがこれを密度で考えると左右にに空気密度の高いエリアをつくります。このため「密度は同位相になる」と表現します。
表現上の違いはあれでも同じ物理現象を表しているのでどちらで考えても同じ答がでます。
ここらへんは高校物理の本に詳しく載っています。
最大のポイントは右を正に定めたら、Δxが右に変位したときにy軸はプラスとし、Δxが左に変位したときにy軸はマイナスになるということです。このため、音叉が左右で密度波で同位相の時、変位では逆位相になります。
音叉が正常モードで2d=nλが正解であるアニメを作りました。ここでは密度波で考えていますので、音叉の左右で同位相、壁の反射は自由端で同位相です。これよりマイクが音叉より左にあるときは定常波となり強め合うのは場所によりますが、右にある条件では常に強め会うことが理解できます。
音叉が正常モードで2d=nλが正解であるアニメを作りました。ここでは位相波で考えていますので、音叉の左右で逆位相、壁の反射は固定端で逆位相です。これよりマイクが音叉より左にあるときは定常波となり強め合うのは場所によりますが、右にある条件では常に強め会うことが理解できます。
(証明)
x=0にある音源の時間tでの反対側(Q点)のx軸方向の変位yは
y=A・sin2π(t/T) ①
と書ける。
①のx=xでの変位はx/v秒かかるのでt=t-x/vを代入して
y=A・sin2π{(t-x/v)/T}=A・sin2π(t/T-x/λ) ②
となる。また、変位は音源の左右で逆で変位波は逆位相のため、壁側のx軸方向の変位yは
y=-A・sin2π(t/T) ③
と書ける。
②のx=xでの変位は、変位波では壁は固定端で位相がπずれて、さらに(2L+x)/v秒かかるのでt=t-(2L+x)/vを代入して
y=-A・sin2π{(t-(2L+x)/v)/T+π}
=A・sin2π(t/T-x/λ-2L/λ) ④
壁と音源の間につくる定常波は③と④の波の合成波であるので
y=-A・sin2π(t/T)+A・sin2π(t/T-x/λ-2L/λ)
=2A・cos2π(t/T-2L/λ)・sin2π(x/2λ+L/λ)
ここで今回の設定L=-2λを代入すると
y=2A・cos2π(t/T)・sin2π(x/2λ)
となり、壁の位置x=-2λや音叉の位置x=0、その中間点x=-λでは0となりますがその他の位置で常に0なわけではありません。
合成波の変位が0となる位置では変位感知マイクは音を拾いません。
この2枚のアニメからマイクロフォンが圧感知型(←人の耳もこれ)でも変位感知型でも音叉の右側では強く聞こえますが、音叉の右側では様子が違います。
例えば壁の位置では、圧感知型では大きく聞こえますが、変位感知型では小さく聞こえます。
大阪大学の問題はマイクの位置は音叉の右だとはっきり書いてありますので問題なかったのですが、京都大学の問題はあいまいだったため不備を指摘されました。